チェルノブイリの真実は明らかになったのか?(フォーブス記事)

Will the truth about Chernobyl ever come out?

   By James Conca (contributor)     FORBES 2016/4/27

チェルノブイリの真実は明らかになったのか?

 

答えはイエス。真実は、既に明らかになった。ただその真実が、予測された大量死などなく、あまりにつまらないので無視されているだけだ。

今年は(本日26日で)チェルノブイリの事故から30年、(311日の)福島の原発事故から5年という節目に当たる。原子力産業での深刻な事故は、歴史上この二つしかない。

チェルノブイリでは死者も出たが、福島での死者はたった一人もいない。それほど深刻でない事故も幾つかあったが、ほとんどが核兵器工場でのもので、原発産業はあらゆる観点で、世界で最も安全な産業である。

 

いったいチェルノブイリはどれほど深刻だったのか?放射線やそこから生じた癌によって、実際何人が死亡したのか?

事故後、34万人が避難、或いは移住させられた。北欧で汚染されたと考えられた地域には500万人が住むが、放射線が原因で健康に影響があったとは確認されていない。移住は、その世代の人々の生活を破壊した深刻な誤りであったと、今では考えられている。

(世界原子力機構調は、1986426日のチェルノブイリ原発事故では、第4号炉の破壊によって3か月で原発作業員や消防士30名が死亡し、その後さらに数名の死者が出た。除染作業に従事した134名は強い被曝症状ARSが確認されたとしている。)

 

メディアは、専門家のチェルノブイリ死者数は数百人から数百万人まで議論が分かれている誤った報道を続けているが、実際には専門家の間でそのような議論はされていない。死者は約100名である。これは恐ろしい数ではあるが、大衆がこの事故の結果として現在信じ、そして原子力エネルギーへの世界の見方をこれほど不当に色付けしている、数百万人というレベルには達していない。

 

チェルノブイリ事故の影響についていくつかの団体が報告をしているが、1986年以前の同地域における信頼に足る公的な健康情報が欠けているため、どの団体も調査報告の重要性の評価に関して問題を抱えている。しっかり観察されたグループ(標本)が確立されなかったため、健康被害の乱暴な推測は、ほとんど捏造に近い。

 

世界保健機構は1989年、地域の医療関係者が、生物や健康へ影響を不当に放射線被爆に結びつけていると、最初に懸念を表明した。

これを受けてソ連政府は、国際原子力機関(IAEA)に対し、ベラルーシ、ロシアそしてウクライナで最も重く汚染された地域の選別地区におけるチェルノブイリ事故の放射線学上、環境上、健康上の帰結に関する専門家による国際的な評価の取りまとめを求めた。

 

19903月から19916月の間に、25ヶ国の200人の専門家、七つの組織、11の研究所によって計50回の現地調査が行われた。1986年以前のデータが欠落している中、惨禍の影響を受けていない人々のグループを、放射線被爆を受けた人々のグループと比較した。どちらのグループにも大きな健康面の不調は明らかに見られたが、放射線に関連するものは何もなかった。

 

健康影響は取り纏めされ、2005967日にウィーンで開催されたチェルノブイリ・フォーラムで詳細に報告された。チェルノブイリ・フォーラムは、事故の影響について信頼できる合意を見出すために、2003年にIAEAによって設立されたものだ。フォーラムは、IAEA、国連人道問題調整局、国連開発計画、国連食糧農業機関、国連環境計画、原子放射線の影響に関する国連科学委員会、世界保健機関、世界銀行などの国際機関をはじめ、ベラルーシ、ロシア、ウクライナの政府代表もメンバーに構成されていた。

 

米国原子力学会の前会長、ウィリアム・バーチル博士が要約したように、実際の死亡者は、

 ・即死2名(非放射線原因)

 ・放射線原因の4か月以内の早期死亡者28

 ・以後20年に亘る晩発の放射線原因の成人死亡者19

 ・放射線原因の甲状腺癌による子供の後期死亡者9

 

最後の9名については、ソ連政府の警告があれば全て回避できた(にもかかわらず、意図的に警告を出せなかったことによって生じた)弁解できない悲劇であった。またI-131が同地区に到達し食物連鎖に入る前に、ヨウ化カリウムを適切に配布することも、ソ連はしていなかった。

 

加えてソ連が事故当初の数日間に、約1,000名の消防隊員を消火活動のために投入、高線量の放射線を浴びた約50名がガンその他の健康被害で死亡した。

 

IAEAの科学部長、ミハイル・バラノフ氏によれば、事故以来チェルノブイリで働く60万人の復興作業員及びウクライナ、ベラルーシ、ロシアの汚染地区の住民500万人は、自然環境放射線と似通ったレベルの低線量を浴びたが、これらの人々には、特筆すべき放射線に起因する健康上の影響は出ていない。

当然、同地域外で被爆線量がさらに低い地区では何の影響も出ていない。

 

事故後、犠牲もいとわずチェルノブイリの火災に立ち向かい、環境汚染の浄化に取り組んだ人々はリクイデーター(Liquidator *清算人の意味)と呼ばれた。PNNL名誉教授のオーニシ・ヤスオ博士は、チェルノブイリ水や土壌の環境に関する米国政府調整官として、他の多くの放射線科学者のリクイデーターと一緒に働いて、重要な観察を行った。

 

 “よく知られるように、こうした科学者たちは自分の命を危険に晒してチェルノブイリの環境放射線レベルを測定し、汚染環境を改善した。例えば放射線の危険を避けるためには、汚染地域に滞在できるのは1ヶ月だった。彼らはチェルノブイリに1ヶ月滞在し、その後帰宅。そしてまた1ヶ月後には現地に戻った。このサイクルを複数回繰り返したのだ。なぜそんな危険な行動をしたのかを尋ねると、人々を護ることが自分たちの使命だと答えた。彼らは同胞をほんとうに愛していた。”

 

2008年の放射線の影響に関する国連科学委員会の報告は、「全体としてのガンの事例、死亡率、或いは良性を損ねる放射線被爆等の増加を示す科学的な証拠は無い」と結論づけた。

 

事故の直後に、超保守的な規範である直線閾値なし(LNT)線量仮説によって、チェルノブイリからの放射線により最終的に4,000人の死者が発生し得るとあてずっぽに予測したが、これらの死者は未だ観察されていない。国連は当初より、そのような死亡数の計算にLNTモデルを利用するのは不適切で、避けるべきであるとして警告してきた。

 

皮肉なことに、この4,000人の死という数字は、実はリベラルな見解であったにも関わらず、メディアによって保守的として取り扱われ、一部で反核空論家によって二倍、三倍と次々に引き上げられ、ついにはお気に入りの百万といった数字に近づけられたのだった。事故から30年経った今日、この馬鹿げた数字がニュース・メディアやブログ世界を通して蔓延っている。

 

しかしながら、福島に於けるように、最も重要な健康面・経済面の被害は事故の見た目の酷さによるもので、放射線の影響に対する誤解と、時には反倫理的とも言える避難民の悪用によって、恐怖が拡散したのだった。

 

チェルノブイリ・フォーラムは、こう報告している。この地域の人々は、放射線の取り扱いに関する作り話や誤った認識によって、死亡説の呪縛に苦しみ、その結果、慢性的な依存症に陥ってしまった。喫煙やアルコールの濫用という精神の健康問題は、汚染地域全体で放射線よりもはるかに大きな問題となってきている。最悪なのは、根底にある貧弱な健康と栄養のレベルで、それが放射線とは無関係に、様々な健康問題を増加している。残念ながら、多くの人々を移住させたことは、極めて大きなトラウマを生じただけで、放射線被爆の減少には殆ど役立っていない。そもそも線量は低いのだ。

 

実際、チェルノブイリでの長年に渡る恐怖の煽動や水増しした死者数が、公衆や政府の過剰反応を福島に直接もたらし、何万もの日本国民に不必要な損害を与えた。

 

チェルノブイリの原子炉周辺には未だ30㎞立ち入り制限地帯が存在し、同地帯での放射線レベルは健康への影響を及ぼすには遥かに低いにも拘らず、予防線として維持されている。チェルノブイリの立ち入り制限地帯は、人気の観光スポットとなっているばかりか、人の手に邪魔されることなく驚くような自然の野生動物の生息地となっている。実際、約1,000人の人々はチェルノブイリに留まったままで30年間元気に生きている。別の3,000人は原子炉複合施設でいまだに働いている。

 

真実は、つまらないものだった。しかし真実が認識され、国際的な原子力の安全利用や原子力発電に関する理性的な議論に活用されること、そしてそのことが人類及び人類の住む惑星の長期存続のために、低炭素エネルギーの多様な組み合わせを如何に選択すべきかを考えることへと結び付けられることが、重要である。

 

ジェームス・コンカ博士は地球化学者、RDD専門家、惑星地質学者であり、また専門分野での講演者でもある

 

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他。

第14回国際放射線防護学会にて、高田先生が福島20km圏内の低線量の調査報告

放射線防護の国際会議=第14会国際放射線防護学会IRPA14が、ケープタウンで本日から始まります。今回はIRPA50周年の記念と重なっています。

およそ150人の線量評価の専門家が集まった会場(核放射線緊急時の放射線の監視と評価のセッション 10 May 13:30~15:00)で、 高田が福島20km圏内の低線量の実際の調査を報告しました。
低線量事実に賛同あっても、反論なし。 福島は国際核事象尺度で6とする私の評価について、議長は賛成を述べました。2011年原子力安全保安院の断定したレベル7は、IRPA14ケープタウン会議で否定されました。

私が福島20km圏内の低線量の真実を報告する、核放射線緊急時の放射線の監視と評価のセッションのプログラムです。2日目火曜日の午後13:30~15:00

開会式
南アフリカ放射線防護学会会長あいさつ
南アの核エネルギー開発の状況を力強く発言
放射線防護IRPAの役割は極めて大きい

シーベルト賞受賞者 アメリカ放射線防護学会長
ジョン・ボルト博士
受賞講演 「公衆をいかに守るのか」
レントゲン・マリー以来の徹底した放射線防護の進歩や取り組みを振り返る講演
・ 数年に一度 防護知識が改定されてきた
・ 疫学研究が継続
・ 直線しきい値無仮説LNTの問題ありの指摘
広島生存者・ 原子力発電所作業員は非直線リスク
・ ラドン線量の健康リスクは意外になかった

参考 高田純の過去の発表
1 2000 IRPA10 広島大会 東海村臨界事故時350m圏内住民の線量 口頭発表
2 2008 IRPA12 ブエノスアイレス大会 中国の核実験 ポスター
3 2012 IRPA13 グラスゴー大会 福島県民の線量2011年 ポスター
4 2016 IRPA14 ケープタウン大会 福島20km圏内住民の低線量の真実 口頭発表

http://rpic.jp/cgi-bin/topics/topics.pl?topicsid=00091

放射線防護情報センターのホームページから紹介いたします。震災直後から、科学者として地道な調査を続けてこられた先生の姿勢が国際的な評価と信頼を勝ち得たことに敬意を表します

IRPAについては下記を参照ください

http://www.irpa.net/page.asp?id=2

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=13-01-03-13

 

がん死亡率「震災後増えず」 震災・原発事故後の健康影響調査

がん死亡率「震災後増えず」 震災・原発事故後の健康影響調査

2016年05月08日 08時00分

 震災と原発事故後の南相馬、相馬両市民への健康影響について、相馬中央病院などの研究チームが震災後5年間のがんによる死亡率を調査し、震災前と比べて増加傾向はみられなかったとする結果をまとめた。

  7日、相馬市で開幕した「こどもと震災復興国際シンポジウム」で、同病院の森田知宏医師が結果を示し「(原発事故の被災地では)放射性物質が降り注いでがん患者が増えたとの声もあるが、研究結果からはがんで亡くなった人は増えていない」と説明した。

研究チームは厚生労働省の人口動態統計などを利用し、2006(平成18)~14年の年ごとのがんによる死亡者数などを比較した。10万人当たりのがん死亡率は06年が男性184人、女性100人だったのに対し、14年は男性166人、女性86人と震災前より減少。がんを含む全ての死亡率では、06年は10万人当たり男性599人、女性329人なのに対し、14年は男性523人、女性302人だった。どちらも医療の発達などにより死亡率が低下したと分析している。

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160508-071845.php

「早産」などの割合、震災前後に変化なし 復興シンポジウム

相馬市で8日、最終日を迎えた「こどもと震災復興国際シンポジウム2016」で、医師や国内外の大学教授らが研究成果などを報告した。 

このうち、南相馬市立総合病院のクレア・レポード研究員は、同病院で生まれた新生児の早産(37週未満での出産)と低出生体重児(2500グラム未満)の割合について報告。早産は震災前4.9~7.7%、震災後3.9~6.7%、低出生体重児は震災前7.7~8.7%、震災後5.4~10.6%と、いずれも震災前後で大きな変化がなかったことを説明した。

相馬中央病院内科医・南相馬市立総合病院非常勤医の坪倉正治医師は「外部被ばくと内部被ばく調査の取り組み」について語った。

このほか、相馬中央病院の越智小枝内科診療科長は「子どもと高齢者の健康影響」、インペリアル・カレッジ・ロンドン腫瘍外科学講座のジェリー・トーマス氏が「甲状腺スクリーニングの世界の動向」、インペリアル・カレッジ・ロンドン公衆衛生大学院の野村周平氏が「原発事故後の避難と健康リスク」について報告した。

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160509-072063.php

「相馬地域に若者を」 相馬で復興シンポ、情報発信の継続訴え

2016年05月09日 09時24分

研究家らが相馬地域の情報発信の必要性などを強調したパネル討論=相馬市

  相馬地域の医師や国内外の有識者が震災と原発事故による健康影響などの研究成果を世界に発信する「こどもと震災復興国際シンポジウム2016」の最終日は8日、相馬市でパネル討論などが行われた。パネリストは、相馬地域の復興や再生に向けた人材確保のため、地域の魅力や放射線量などに関する情報発信の重要性を強調。「相馬地域の素晴らしさを伝え、若者を呼び込むことが必要」という考えで一致した。

 パネリストは、震災と原発事故から5年が経過した今、地域の再生に向け、避難住民の帰還を促したり、県外などから若い人材を呼び込むことの大切さを訴えた。桜井勝延南相馬市長は「専門家による科学的なデータを通して南相馬市を正しく知ってもらい、地域の素晴らしさを伝え続けることが求められている」と提言。立谷秀清相馬市長も「放射能教育の大切さやシンポジウムの成果を世界に向けて発信したい」と語った。

一方、滋賀県から南相馬市に移住した南相馬市立総合病院の山本佳奈研修医は移住を決めた時、両親から心配されたエピソードを明かし、「南相馬市の魅力を伝えることで誤解は解けた。被災地の本当の姿を知ってもらいたい」と相馬地域を正しく理解してもらうことの重要性について述べた。

また、パネル討論以外では、相馬地域の外部被ばくと内部被ばくについて研究報告した相馬中央病院内科医・南相馬市立総合病院非常勤医の坪倉正治医師が「子どもが放射線について知る機会が減っている」と危惧。「授業などで最低限でも放射線の知識を教えるべきだ」と呼び掛けた。

シンポジウムは相馬地方市町村会の主催、世界保健機関(WHO)の共催、日本医師会の特別後援、福島民友新聞社などの後援。

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160509-072064.php

福島民友記事を紹介します。このような継続した調査によって、風評被害や放射線についての正しい知見が広がってゆくことが必要です。「放射能教育の大切さやシンポジウムの成果を世界に向けて発信したい」という市長の発言を、国会議員やマスコミの方々にもぜひ受け止めていただきたい。このような地道な研究に敬意を表するとともに、前者の癌患者の死亡率の減少について、例えばホルミシスの見地からの問題提起なども聴いてみたく思います。(広報)