第3回放射線議連勉強会報告「食品中の放射性物質の基準値について」

第3回放射線議連勉強会報告 「食品中の放射性物質の基準値について」
(平成25年10月23日 衆議院第2議員会館第5会議室)
講師:大阪大学名誉教授 中村仁信


衆議院第2議員会館第5会議室にて議員勉強会は午後4時、西田譲衆議院議員の司会で開会しました。まず、放射線議連会長平沼赳夫衆議院議員が挨拶、今日本では感傷的な放射能への恐怖感のみが強調され、放射能は悪であるという認識が高まっている、しかし自分は、冷静で科学的な見地の中で、人類は放射線と付き合っていかなければならないと考えていると述べました。

続いて放射線の正しい知識を普及する会の加瀬英明代表代行が、放射線の安全基準について、科学的な見地からただしていくことが必要だとあいさつした上で、中村仁信教授の講演会が始まりました。

中村氏はスライドを使いつつ解説し、自分はこれまで放射線防護について学び研究してきたが、今日は、食品中の放射性物質の基準値を中心にお話をしたいと講演をはじめ、まず、現在日本が取っている基準値は理屈に合わないということを説明しますと述べました。 そして、現在の新基準値は年間5ミリシーベルトであった暫定基準値が、1ミリシーベルトいう厳しい基準値になった、これはアメリカやヨーロッパと比べても10分の1以下という厳しい基準値であること、そして、このような基準値については、国際規約としてのコーデックス委員会が定めた基準があり、それによれば、飲料水、牛乳、食品、乳幼児用食品が全て1000ベクレル/キログラムと定められている、例えば米国はこのすべてを1200ベクレルと定め、EUは飲料類と牛乳は1000、食品は1250、乳幼児用食品は400と定めている、それに対し、日本は、飲料水10、牛乳50、一般食品100、乳幼児食品50とされている、これほど厳しい基準値にする必要が果たしてあるのだろうかと疑問を呈しました。

そして、これほどの基準値にしてしまった結果、、これまでは何の問題もなく市場に流通していた青森県のキノコに、120ベクレル/キログラムのセシウムが検出されたことで出荷制限になり、同じレベルのものならば世界中で食べられているのに出荷制限がかかったこと、また、横浜市では一個当たり1ベクレル以下の冷凍ミカンが破棄されるなどの事が起きている、そして、この基準値を出してからさらに厳しい基準値を出す生協、一部スーパーなどの「自主規制」まで起き、厳しい基準の引き下げ競争などが起きている。これに対し、福島大学の佐藤理教授は、「基準値が下がれば安全が達成できるのではなく、安心できないレベルが下がるだけだ」と述べており、ある意味、風評被害や、せっかくの安全な作物の覇気が起きるだけだという現実を批判しました。

そして、食品安全員会はこの事態をどう考えているのかと中村氏は続け、この委員会は、どちらかと言えば冷静な議論をしてきたと、毎日新聞2011年3月29日の記事を紹介しました。それによれば、放射性セシウムの基準は、年間10ミリシーベルトまでは健康に影響はないということでほぼ一致し、暫定基準値が5ミリシーベルトですからこれは厳しすぎる、10ミリにしようといったん決めたのに、事務局は現状をさらに甘くすると世論の風当たりが厳しくなることを恐れたのか、5ミリを10ミリに挙げるというのはやめてほしいと言ったようで、事務局に押し切られた形で5ミリシーベルトという基準値を出したようだ、しかしながら、その5ミリシーベルトに対しても、当時の小宮山大臣から、いや、1ミリシーベルトとするようにという指示が出て、結局この厳しい基準値となってしまったと、中村氏は冷静な議論よりも政治的判断が基準値に当てはめられたのではないかと中村氏は述べました。

そして、この1ミリシーベルトを正当化するために持ってきたと思しき理論として、「放射線による影響が見出されるのは生涯における追加線量がおおよそ100ミリシーベルト」という前提に立ち、「生涯」とすれば、だいたい年間1ミリシーベルトだろうという計算からこの数字を正当化したと思う、しかし、その論拠として安全委員会が挙げたデータや論文からは、この「生涯100ミリシーベルト」が健康に影響があるという結論はまったく見いだせないと述べた。そしてその一つとして、放射線被ばくで最も起こりやすい癌は白血病であるけれども、広島原爆の被ばくによる白血病死亡リスクを見ても、200ミリシーベルト以上では確かに白血病と放射能の間には相関性があり、白血病になりやすくなっているが、200ミリシーベルト未満では相関性は見られず、60~90ミリシーベルト以下の場合はむしろわずかではあるが低くなっているというデータを挙げ、生涯100ミリシーベルトが影響を与えるという証拠は全くないと述べました。

そして、原爆のような急性被ばくではなく、慢性の場合は白血病は増えているのかどうかについて、まず中村氏は、初期の放射線科医が、それこそ年間1000ミリシーベルトの放射線を浴びながら仕事をしていたときは確かにガンの発生率は高かったから、このレベルの放射線は危険であるが、生涯100ミリシーベルトが「累積線量」として危険だという考え方はまったく意味がないと述べました。その理由として、線量率効果を無視していることだと指摘しました。これは20世紀初めの、ショウジョウバエの実権をしたマラー氏は、放射線の影響は少しであっても蓄積する、修復されることはないという論文でノーベル賞を受賞しており、今でもその考えが世間に流通しているが、それが科学的には誤りであることは既に証明されている、線量率効果と言って、放射線は、長期にわたってゆっくり浴びる場合には人体できちんと修復されると述べました。

そして、急性被ばくと慢性被ばくの例を挙げ、一度に急性被ばくとして放射線を浴びた場合、修復でできる範囲は決まっている、しかし、これを4回に分けて分割照射した場合、生体の防御能力は放射線の影響を修復できるので、影響は少なくなる。わずか4分割しただけでも少なくなる、放射線治療はこの弁理に基づいているが、これが線量率効果で、これは科学的に証明されていることだと述べました。

そして、分割すればどの程度影響が少なくなるかについて、現在、ICRPは、分割すれば影響は半分になると述べている、これは安全性を高く強調した考えで、動物実験だと、半分から10分の1くらいの数値が出たので高い方(安全側)を取っているのだと説明しました。そして、ただ4分割しただけでも影響は極めて少なくなっている、福島のように、長期にわたる場合はもっともっと修復ができるから影響は少ないはずだと述べました。

そして線量率について、ショウジョウバエの精母細胞(精子と違い、放射線に対しての修復能力がある)に放射線を照射した場合の突然変異誘発率の実験結果を紹介し、線量率を下げると突然変異の誘発率は減少する(0.05グレイ/分で0.2グレイの線量を照射した場合、突然変異発生率は何も照射しないよりも減少する傾向がある)ことを述べ、これはある種のホルミシス効果にあたるのではないかと述べました。そして広島の被爆データをもう一度紹介し、原爆という超高線量率の放射線被ばくでも、200ミリシーベルト未満ではがん死も発がん率も高くないという論文があることを紹介しました。

そしてICRPでは、放射線作業者の安全のためにどのような基準を出しているかを挙げ、生涯1000ミリシーベルトには達しない方がいいという判断のもと、20年間働くとして、年50ミリシーベルトまでなら問題ないというのが1977年の勧告だったとし、その後、1990年に5年で100ミリシーベルトに下げられ、20年働くとしたら生涯400ミリシーベルトが安全となる。そして、一般公衆は、少しでも被ばくが少ない方がいいという観点から、年間1ミリシーベルトと言っているけれども、少なくとも現在の日本の基準値のように、生涯100ミリシーベルトとは全く言っていないと指摘しました。

そして世界では、インド、中国などで高自然放射線量の地域はいくつもあり、広東省陽江県の自然放射線レベルは年2~5ミリシーベルト、インドのケララ州では生涯500ミリシーベルト以上(年平均3.8ミリシーベルト、最大で年35ミリシーベルト)であるが、特に健康被害などは起きていない、また、アメリカの雑誌フォーブスに興味深いデータが出ていたが、アメリカの平均は2.5ミリシーベルトだが、2.7ミリ以上と高い州が8つある、ところがそれらの州では、がんの死亡率が平均をやや下回っている、このような例を見れば、今行われている1ミリシーベルト以上の土地の「除染」がいかに意味がないかもわかるはずだと中村氏は指摘しました。

そして続いてセシウムの問題に触れ、これも誤解があるようだけれど、セシウムの内部被ばくについて、血中に取り込まれたセシウムは全身の筋肉に分布するが、主として尿、部分的には便で排出されること、筋肉はそもそも放射線感受性が低く影響は少ないことを指摘しました。そして、世界中で起きていた核実験でセシウムは世界中にばらまかれたという現実があり、以前から食品や粉ミルクにもセシウムが数十ベクレル/キログラム検出されていた、そして、体重60キログラムの人間には、すでにセシウムは20~60ベクレル既に体内に存在する事を指摘して、過剰に恐れる必要はないと述べました。

また、セシウムはCs137とCs134が半分くらいずつ排出されているが、134の放射線量は137の2.7倍くらい強く、測定されるセシウムの73%は134による。その134は二年で物理的半減期を迎えるため、134+137の合計線量は1年で22%、2年で38%減衰し、3年で半分、10年で23%になるとし、実際、福島では1年で30%くらい減っていると指摘しました。そして、現在の内部被ばくの線量は、預託実効線量という考えから計算され、50年分の線量を積分して預託実効線量とされるが、損傷修復を考慮していない、たとえば、ヨウ素131はバセドウ氏病や甲状腺がんの治療に使われているが、前者は3.7億ベクレル、37億ベクレルのヨウ素131を飲ませ、実効線量は8シーベルト、80シーベルトという計算になり、信じられないような過大な線量になっている、セシウムでも預託実効線量で計算されるので過大評価になっている可能性が高いと述べました。これらのことを考慮すれば、最初から厳しい条件で規制する必要はなく、ちなみにウクライナでは、年50ミリシーベルトから10年以上かけて、年1ミリシーベルトに引き下げていると述べました。

そして最後に、中村氏は自らの結論として、局所の放射線発ガンにはしきい値があること、その証拠として、小児がんは放射線治療がよく効くが、5000人を追跡調査したところ、局所線量1グレイ以下では二次がんの有意な発生は見られないことを示しました。また、全身被ばくでは、原爆の悲劇によって白血病のしきい値が200ミリシーベルトだったことも証明されている、固形がんの場合は生活習慣との複合的影響であるため不明になっていると述べました。そして、適度の低線量率放射線では、むしろ健康の増進効果がみられること、熱ショック蛋白、がん抑制遺伝子の増加、免疫細胞活性化による免疫力の高まり、活性酸素処理能力の高まりなどがみられることを挙げ、動物実験だけでなく、人間のラドン浴や被ばく線量の比較的高いカテーテル術者において、活性酸素処理能力、免疫力の上昇がみられていることを示し、低線量率放射線の長期照射によるがんの抑制効果は、多くの動物実験やアメリカで1999年に発表された原子力船修理工のがん死亡率データなどが示唆するように、今後さらに研究が進めば、適度な低線量率放射線の健康増進効果はいずれ科学的に証明されるであろうと述べました。

そして本日のまとめとして(1)生涯100ミリシーベルト以上で悪影響が出るという考えは科学的に誤りで、現在の新基準値は理屈に合わない(2)セシウムの影響は減衰、預託実効線量から考えて過大評価されている(3)放射線だけによる発ガンには、全身200ミリシーベルト、局所1グレイというしきい値がある(4)低線量放射線の健康増進効果は動物実験だけではなく人においても証明されつつある と述べて講演を終わりました。

しかし厚生省から、この講演を聞いたのちも、年1ミリシーベルトに固執し現在の基準値は見直す考えは今のところないという返答があり、参加議員の中からもその姿勢にいくつもの疑問の声が呈されました。最後に、議連の笠浩史衆議院議員から、民主党議員の立場として、地震当時の自分たちが政権政党だった時期の判断について、もう一度冷静に考える必要があることを認識したという挨拶がなされ、第3回勉強会は閉会しました(文責 三浦)


当日のスライド
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スライドのPDF版
http://s-radiation.info/pdf/1023study.pdf
 
 

映画「パンドラの約束」監督インタビューを紹介します

映画『パンドラの約束』特別インタビュー  なぜ環境保護派が原子力を支持するのか

WEDGE

(WEDGE)

――福島の事故をどう見ていますか。

「パンドラの約束」の製作中、私は福島の避難指示区域を訪れ、自分自身の目で、そこで何が起きたのかを確認しました。気候崩壊を防ぐ取り組みに必須なエレメントとして、原子力エネルギーを支持する立場のひとりとして、福島を訪ねることは、ひどく心がかき乱される思いでした。端的に言って、福島原発事故は決して起こってはならないことでした。また、事故を引き起こした人為ミス、すなわち不十分な防波堤と海抜の低い位置に非常用の発電機を設置していたことに対する説明や謝罪はみられません。

日本各地の原子炉は、千年に一度という最強レベルの地震の中でも特段問題ありませんでした。一歩前に進み、このことが思い出されなければなりません。

福島の発電所だけが唯一、津波によって破壊された後に、惨事に見舞われました。WHO(世界保健機構)とUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)は原爆が投下された広島と長崎で生き残った人々の健康状態を、およそ70年に亘り調査し、福島での放射線放出による被曝によって健康上の悪影響を受けた人はおらず、また今後についても、何らかの健康被害が認められることは非常に考えにくいと結論付けました。

反核グループは、当然これらの見識に異議を唱えるでしょう。なぜなら、彼らがこれまで40年間作り上げてきた、「核関連の事故がもし起きれば、この世の終わりのような大惨事となる」という説を否定することになるからです。

この主張こそ、彼らが原子力エネルギーに反対する所以であり、彼らは決してその主張と矛盾する科学的な証拠を受け入れません。彼らは、その政治目的を達成するため、民衆が原子力エネルギーを恐れるよう仕向ける必要があります。日本国民の多くは、ほんの少しであっても放射線量が上がることを恐れており、それは彼らの思うつぼです。

私は、避難指示区域のすぐ外にある街を訪れましたが、そこの親たちは子供たちが屋外で遊ぶことを許しませんでした。断じて、です。放射線量は、世界の多くの地域の元々の放射線量より低い数値でした。しかし親たちは、反核の人々やメディアから得た情報で子供たちの健康を慮り、放射線を恐れていました。

苦しんでいるのは誰でしょうか? 二度と外で遊べないかわいそうな子供たちや、(多くの場合、必要以上に)ふるさとに戻ることを恐れている家族たちです。

反核グループは、チェルノブイリについても同様の主張を展開しました。100万人以上の人々が悲劇的な災害のために命を奪われた、と言い募ったのです。国連によって行われた最高レベルの疫学的研究が、チェルノブイリ原発事故が直接の原因で亡くなったのは、長い年月を経た後の今日でさえも、たった56人であったと指摘しているにもかかわらずです! これは異常なことですが、真実として起きていることでもあるのです。

放射線は、極めて弱い発がん物質であることが分かっています。身体へのダメージを与えるには、かなり高い線量─福島の避難指示区域内で認められる線量よりはるかに高い─を要します。我々は、福島の避難指示区域内とその周辺で測定しました。そこの放射線量が、基準より高めであることは疑う余地のないことです。私は、持ってきた線量計で、自分自身の目で確認しました。信じがたいことかもしれませんが、わずかな数のホットスポットを除けば、その線量は人が身をさらしても健康を脅やかすレベルにはありません。放射線量のレベルは、重要な論点です。リンゴにさえもシアン化物が含まれていますが、含有量は低く、人体には無害です。

メディアは、恐怖心を煽ることで人々の注目を集め、視聴率をたたき出し、繁盛しています。何かが、「実はそれほど危険でない」と伝えることは、ニュースではないのです。悲しいことに、日本の原子力発電の所管当局は国民の信頼を失っており、人々が最悪の事態を信じる傾向にあることが見て取れます。これは2011年3月の、日本の難局における、特に東京電力のリーダーシップの大いなる失敗だといえます。

文部科学省や資源エネルギー庁は、国民の信頼を回復する必要があります。彼らは、調査結果の科学的な裏づけを国民に説明するとともに、良いニュースと悪いニュースの双方を、誠実に開示していく必要があります。それによってのみ、彼らは信頼を取り戻し、恐怖心を煽る輩を駆逐することができるのです。(以下略)

http://news.goo.ne.jp/article/wedge/business/wedge_3112.html

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3112?page=2

「パンドラの未来」は、今年1月にサンダンス映画祭で公開された、ロバート・ストーン氏監督によるドキュメンタリー作品です。日本ではいまだ未公開ですが、一つの意見として、ネットで公開されているインタビューを紹介いたします(三浦)

 

 

週刊プレイボーイインタビュー記事「原発作業員マンガ家が語る本当の『いちえふ』」

現在発売中の週刊誌「週刊プレイボーイ」第48巻40号(2013年11月4日号 10月21日発売)53ページに、福島原発作業員でかつ漫画家の竜田一人氏のインタビュー記事が載っています。以前このホームページでも紹介いたしました漫画作品について、そして福島の現状についてですが、興味深いものですので一部引用させていただきます。

「(竜田)私は原子炉建屋とは別の廃棄物建屋という、燃料プールを冷却する配管が通っているエリアで点検や交換作業をしていました。1メートル離れたら線量が全く違うこともあって、現場では個人線量計と放射線監理員だけが頼りになります。」

(質問)作業員の被ばく線量は年間50ミリシーベルトですよね。

(竜田)今、50ミリシーベルトの限界まで働かせる会社はないと思います。大体20ミリシーベルトでしょう。私の場合、最終的に半年で18ミリシーベルトくらいになりました。それも毎年4月にはリセットされて、また20ミリシーベルトに達するまで働ける。」

(質問)年度ごとにリセットされるというのも変な話ですが

(竜田)不思議ですよね。私はまだ今年の分が残っているので、行こうと思えば行けるんです。(中略)現場では、キャリーオーバーを認めてほしいなんて冗談すら聞こえてきますから。高線量の方が金はいいし、長く働けばその分稼げる。(中略)作業員はあくまで目の前の作業に淡々と向かうだけです。そこには原発賛成、反対もない。」

(質問)作業員の単純なミスによるトラブルも頻発しています。

(竜田)熟練労働者の不足も原因であるように思います。私のように技術もないような人間ならいくらでもいるでしょうけれど、クレーンのオペレーターや難しい溶接作業ができる作業員は少ない。そうした作業技術を持った人が、規定の被爆線量に達して現場を離れざるを得ないというのは深刻です。」(中略)

(竜田)私自身、意識としては今も漫画家というより作業員なんです。可能ならまたあそこで働きたい。そして現場で起こっていることをそのまま伝えたい。廃炉作業はこれからもずっと続くけれど、できることなら、1Fが廃炉になる最終回まで描き続けたいですね」

尚、竜田氏の漫画は来週の週刊モーニング(木曜日発売、講談社)にも掲載されます。

ぜひ手に取ってみて下さい。原発についての意見は様々ありましょうが、今、現場で作業している作業員の視点は最も重要なものと思います。(三浦)

 

 

第9回放射線防護医療研究会のお知らせ

第9回放射線防護医療研究会は、皆さまにご支援ご理解を頂き、
昨年に引き続き、東京で開催することとなりました。
ご参加いただけたら幸いです。
詳細は下記の通りです。

参加の受付締切は11月1日です。
日時 平成25年11月24日(日) 10:00~17:00
場所 日本青年館ホテル 東京都新宿区霞ヶ丘町7-1
主催 放射線防護医療研究会 代表世話人 高田 純
参加費 2000円 論文集 放射線防護医療9 含む
懇親会費 5000円 17:30~19:30
懇親会 立食パーテイ 同ホテル内
 
詳しくは、こちらに。
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http://rpic.jp/cgi-bin/topics/topics.pl?topicsid=00033

 
参加申し込みは、メールにて受付ています。
(迷惑メールよけのため画像にしています)
mail
 



シンポジウム
人は放射線なしに生きられない 



1 基調講演 人は放射線なしに生きられない 福島低線量率放射線の意味  
札幌医科大学大学院医学研究科 高田純

2 住民の帰還支援のための個人モニタリングについて           
日本原子力研究開発機構 核燃料サイクル工学研究所 百瀬琢麿

3 放射線適応応答について       
ホルミシス臨床研究会 服部禎男

4 臨床放射線ホルミシス          
東京女子医科大学 青山女性・自然医療研究所 川嶋 朗

 


特別報告
5 浜岡原子力発電所の新規制基準を踏まえた対策等について  
中部電力株式会社 原子力部 豊田哲也

6 高速増殖炉もんじゅの再稼働に向けて     
日本原子力研究開発機構 高速増殖炉研究開発センター 中島文明

7 総合討論
健康増進となる低線量率放射線と防護が必要な高線量率放射線との境界はいくらか

ラムサール(イラン)の真実

 世界には自然放射線が非常に高い地域があることはよく知られている。中国広東省陽江、インドのケララ、ブラジルのガラパリなどが有名であるが、中でもイランのラムサールが最も高く、平均で日本の24倍である。つまり、福島の高放射線地区以上の自然放射線に常時さらされているのである。そればかりではなく、地域によっては年間260ミリシーベルトにもなるのである。
 1ミリシーベルトが、体に悪いとか、土壌の除染作業を大金をかけてやろうとかしている国の人からしたら、そんなところに住んで大丈夫なのか、すぐにでも避難すべきだ、と言いたくなるだろう。でもこの人口3万余のカスピ海に面するラムサールの地は、風光明美なだけでなく、どちらかというと長寿の人の多いところと一般にいわれている。
 そういうデータもあるということを聞いてはいたが、このほどチャールズ・サンダース博士の著『放射線ホルミシスとLNT仮説』(Radiation Hormesis and Linear-No-Threshold Assumption)という本で、ラムサールのことを研究した論文が、いくつかあることを知った。4つほどの論文の結論は、1)高放射線の有害な影響は観察されない、2)ガン発生率が高いというデータはない、3)むしろ発生率が低くなっている調査結果がある、4)高放射線地区の方がむしろ肺ガンの発生率が低いという調査結果が出た、といったものである。
 4つの研究論文の概要は、次の通りである。

  1. 「ラムサールの高自然放射線地域:住民は安全と感じているのか?」
    7人のイランの大学(主としてバボル大学)研究者の共同研究
    2006年、International Journal of Low Radiation 誌に発表。
    結論:高い放射線地域の住民に有害な影響は認められない。従って、LNT仮説による予測は事実に合わない。
  2. 「自然放射線上昇地域でのガンの発生率」
    6人の学者(イラン・アメリカ・日本)の共同研究
    2006年、International Journal of Low Radiation 誌に発表。
    結論:高放射線地域でガンの発生率が高いというデータはない。むしろ発生率が低くなっている調査結果がいくつもある。これは、自然放射線が、抗酸化酵素やDNA修復酵素を増加させ、染色体異常を減らし、ガン発生率を減少させているものと思われる。
  3. 「ラムサールの非常に自然放射線が高い地域での新しい発見」
    4人のイランの学者の共同研究
    2005年、International Congress Series に発表
    結論:これまでのところ、ラムサールの高自然放射線地域において、ガンの発生を示す信頼できるデータはない。さらなる総合的な調査が必要である。
  4. 「ラムサールにおける住民が高放射線ラドンに被曝した場合のガンのリスク」
    3人のイランの学者の共同調査
    2005年、International Congress Series に発表
    結論:ラムサールの8つのラドン放射線レベルの異なる地区で、2年間にわたり、肺ガン調査を行ったが、最も放射線レベルの高い地区のガン発生率は、他の地区よりも低かった。自然のラドン放射線のレベルと肺がん発生との間には、ネガティブな関係=背反関係があると結論できそうだ。

 年260ミリシーベルの環境下で、妊娠し、幼少期を過ごし、成人し、老年を迎えるラムサールの人々は、ガンに侵されるどころか、むしろ相対的にガンが少ない状況にあることは、ほぼ間違いない。となると、年間100ミリシーベルトいう基準は、超安全基準ということに常識で考えればなってくる。浪江を含む福島の全地区は全く避難をする必要はない、ということになる。
 よく、ホルミシス論者は自分の都合のよいデータばかりを使うという人がいるが、3万もの人が安全に暮らしている「絶対的な事実」は、普遍的な科学的なデータである。これを無視する人こそ都合のよいデータを勝手に引用して放射能恐怖を煽っているということなのだ。(事務局長:茂木弘道)
 

本日発売の「週刊モーニング」に、福島原発作業員の日常と誇りを描いたいいマンガ「いちえふ」が掲載されました

本日10月3日発売の、「週刊モーニング」2013年10月17日号に、福島第一原発で実際に作業員として働いていた方の書かれた「いちえふ 福島第一原子力発電所案内記」という漫画が掲載されています。この漫画は原発や放射能について直接的に論じたものではありませんが、実際に作業した方にしかわからないリアリテイに満ち溢れており、ぜひお読みいただきたい作品です。コンビニや駅の売店などで手軽に買うことができますので、ぜひ手に取ってみて下さい。

著者の竜田一人氏は福島の生まれではなく、地震当時、仕事がなかったこともあり進んで福島第一原発での作業員に応募しました。台詞には「今回の事故について放射線について自分なりに調べてみれば、一部のマスコミや市民団体が騒ぐほどではないと分かったし、彼らの言う福島の隠された事実みたいなものがあるとしたらそれを観て来てやろうじゃないかぐらいの気分になっていた」とあり、著者の冷静な視点と、表現者としての覚悟のようなものがわかります。(実際に作業に参加する許可が出たのは2012年から)

福島の被ばく線量について、また労働環境についても具体的に描かれており、いくつかの週刊誌に書かれたデマにも的確に反論していることや、作業員の汚染のチェックについては必要以上と思われるほど厳しく調べていることなどがわかります。特に漫画最終部で、「警戒区名物 放れ牛」こと、牧場から抜け出した和牛が別に奇形も見られず元気に増えていることにふれ「ほかの動植物も同様だ、彼らはこの禁断の地でむしろ自由にたくましく生きている」というセリフは胸に来るものがありました。

もちろん著者は科学的に専門知識がある方かどうかはわかりませんし、この個人の体験だけで福島のすべてを語るなという反論もあるでしょう。しかし大切なのはこの漫画のメッセージである、福島にも、原発作業員の方々にもごく普通の日常があり、それを誇りを持って生きていることでしょう。福島の希望はこのような作業員が支えていることを感じさせてくれる漫画作品でした(文責 広報 三浦)

本の紹介;「原発安全宣言」 中村仁信 渡部昇一対談 (株)遊タイム出版発行

原発安全宣言 中村仁信 渡部昇一対談 (株)遊タイム出版発行

本書は放射線に対する誤解や極端な危険視を、放射線医学の視点から解説した本で、対談形式のため大変読みやすいものとなっています。また、人間のDNAは自然状態においても自然の放射線や体内の様々な活性酸素により日々傷を受け、それを修復している状態にあること、原爆のような急性被ばくと、今回の原子力発電事故のような放射線物質の漏れによる慢性被ばくでは、後者の場合は修復機能が働くことを本書は指摘した上で、中村氏は放射線医学研究の実験結果を次のように語っています。

「(精子の精母細胞を使った実験では)10シーベルト(1万ミリシーベルト)もの高線量を照射しますと突然変異が起こります。ところが0.2シーベルト(200ミリシーベルト)ぐらいですと、照射しない場合と比べてほとんど差がない」

この現象を中村氏は「しきい値」の範囲内とし、低線量の放射線の場合はDNAは損傷修復ができるだけではなく、むしろその修復機能が活性化することで、ガンの発生率などが下がる傾向があると述べます。これは本書後半部でも、ホルミシス効果の根拠の一つとして再び論じられ、中村氏は医学の見地から、低線量放射線によりがん発生が抑えられること、免疫機能が高まることをマウスの実験、植物栽培の効果、実際の放射線治療の体験など様々な実例を挙げて説明しています。

同時に、小出祐章氏、広瀬隆氏らの余りにも極端で非科学的な言動についても的確に批判し、前者の放射線被ばくが子供に高い確率でガンを発生させるという発言は、1シーベルト(1000ミリシーベルト)の放射線を、しかも急性に浴びた場合の事であって現状には当てはまらないことを挙げるなど、恣意的にデータの一部を反原発の主張のために利用すべきではないとしています。

そして、広島、長崎の原爆投下の悲劇が特に日本に放射線に対する恐怖感を与えたことは確かだが、渡部氏はその後、広島・長崎は特別な除染をしたわけでもなく、また広島の海から取れた魚介類、カキなどはそのまま食べられていたこともまた事実で、それで大きな問題が起きたわけでもないこと、それに比べれば福島の汚染をあれほど騒ぐ必要があるかと疑問を呈しています。

さらに渡部氏は、広島、長崎の原爆被爆は、放射線の人体への影響を知るためには大変重要なデータなのに、それに基づいた冷静な議論があまりないことを批判、中村氏も、原爆データで確認できるのは、1シーベルトを超えると9歳までの子供は大人に比べて4倍くらい癌になりやすいが、500ミリシーベルト以下だと、子供と大人に優位の差はないことだと指摘し、現在の福島での子供のがん発生率を不安に思う必要は全くないと述べています。

また、良く知られ比較されがちなチェルノブイリ事故について、また、いわゆる「内部被ばく」の危険性についても、本書ではよく私たちが目にする極端な論議は科学的には成り立たないことを述べています。このあたりは、ぜひ本書を直接お読みいただきたく思い

ます。そして重要なのは、現在福島で行われている「除染」をはっきりと批判していることで、アメリカの自然放射線量とがん死亡率を比較したデータによれば、年間2.7ミリシーベルト~3.7ミリシーベルトの州における癌発生率はアメリカの平均発生率より低く、現在の福島のレベルで広範囲の除染をする化学的な根拠はほとんどないこと、むしろ、強制的な移住によるストレスや事故による死亡の可能性が高まることを指摘し、除染の不要なことを訴えています。さらに渡部氏は、エネルギー政策の面からの原発維持の重要性を、大東亜戦争を含む様々な歴史的事例から分析し、日本のエネルギーの未来について的確な提言を行っています。本書に異論のある方もおられましょうが、少なくとも放射線の危険性は「量」、そして、「急性」の問題であって、低線量放射線を必要以上に恐怖する必要は全くなく、むしろ医学的見地からは今後そのプラス面が研究される可能性が高いことを、本書はわかりやすく説いてくださっていると思います(文責:広報部 三浦)