一般社団法人 日本ホルミシス協議会 設立記念講演会報告(2018年11月27日)

一般社団法人 日本ホルミシス協議会 設立記念講演会報告(2018年11月27日)


 2018年11月27日午後1時、一般社団法人日本ホルミシス協議会設立記念講演会が、参議院議員会館101会議室にて、午後1時より開催されました。参加者は約100名、主催者によれば、もっと大きな会場を取るつもりだったが諸事情により難しく、今回は人数制限をするしかなかったが、来年度はより大きな会場でこの問題を訴えたいという報告がまずなされました。

 最初に外交評論家で、今回、一般社団法人日本ホルミシス協議会会長に就任した加瀬英明氏が開会挨拶を述べました。加瀬氏は、東日本大震災当時、当時の民主党政権のマスコミも、放射線についての正しい知識も冷静な視点もなく、間違った対策を取ってしまったことに危機感を感じ、放射線に対する正しい知識を普及するための会や議員連盟を作ろうとしたこと、また、日本は被爆国であるにもかかわらず、放射線についての国民的な知識が乏しいことへの危機感をまず指摘しました。

 その上で加瀬氏は、友人であるスキーヤーであり冒険家の三浦雄一郎氏の言葉を紹介し、三浦氏は、日本人は、仕事や勉強については、「攻める」姿勢を持つのに、それ以上に重要な健康に対しては「守る」「維持する」といった発想しかない、と述べていることを紹介しました。
 そして、この健康を維持し、単に平均寿命ではなく「健康寿命」を維持することこそが、これからの高齢化社会には重要であり、そのためにも、このホルミシスの考えが最も大切であること、その発想を今後発展させていきたいと述べました。

 中村仁信 免疫系を活性化する放射線ホルミシス

 続いて、大阪大学名誉教授で、日本ホルミシス協会理事長の中村仁信が登壇。「免疫系を活性化する放射線ホルミシス」と題して講演を行いました。
 中村氏はまず、東日本大震災直後、大阪で「たかじんのそこまで言って委員会」という人気番組に出演し、長く放射線医学に携わってきた立場から、低線量放射線は怖くない、むしろ健康にいいと語り、大パッシングを受けたけれども、同時に、自分もそう思うという人も集まってきて、大阪でホルミシス協会を作ることができた、今回、こうして日本全体のホルミシス協議会ができたことの意義は、そう思えばとても大きいと述べました。

 その上で、放射線については、いまだに間違った情報が支配していることをあげ、一つには、マラーという科学者が、丁寧な実験を経ることなく、放射線には閾値がなく、どんな微量でも健康被害があると主張してしまったこと、そして、広島の原爆被曝後生存者について、むしろ、5ミリシーベルト以下の被爆者についてはむしろ癌が少ないという事実もあることを指摘しました。
 その上で、ホルミシス効果について、まず、ヒトの細胞は42度以上の高熱にいきなり曝されると死んでしまうが、前段階でもっと低い熱を与えると、「熱ショック応答」という現象が起きる。これは、熱ショックタンパク(HSP)という物質が出て、細胞の崩壊を抑制してくれる。これは一過性の効果だが、HSPには、生体防御作用、免疫増強、そして癌に対するワクチン作用などの働きがあり、低線量放射線を浴びた場合にもHSPが発現することが確認されていると指摘しました。

 中村氏は、これはホルミシスとの共通性がみられると述べ、一つの実例として、「チェルノブイリ25年、 被曝の森は今」というテレビ番組の内容を紹介しました。そこでは、チェルノブイリに実験的にネズミを45日間放置した後に低線量放射線を浴びせると、そうでないネズミよりも活性酸素に格段に強くなったことが報じられており、これを放射線適応応答と呼ぶと述べました。そして、この放射線適応応答を繰り返し、頻回に受けることで、長期的な健康増進作用(ホルミシス)になると説明しました。

 中村氏は、癌がなぜ発生するかといれば、それは人間の体内では一日10億もの活性酸素ができており、それによって遺伝子に傷がつき、それを修復しきれないものから癌細胞ができる。このため、人間の体内では一日のうちに何千個も癌細胞ができており、免疫系の機能を持つ細胞がそれを消しているが、年齢とともにその免疫機能は衰え、40代から50代にかけて免疫能力は半分ほどになり、70を超えると10分の1になってしまう、また、ストレスなどでも癌になる率は高くなると述べました。

 そして、癌細胞に対する治療の根本はこの免疫能力を高めることにあり、ホルミシスとは、活性酸素を消す力、DNAの傷を修復する力を強め、免疫系を強くすること、特に免疫能力の活性化をもたらすことにポイントがあり、同時にこの免疫能力の活性化は、癌のみならず、あらゆる生活習慣病の改善にも役立つと指摘しました。

 そして、東北大学の坂本澄彦名誉教授の研究成果から、1000ミリシーベルトの放射線をマウスに与えると、免疫能力は半減したが、100ミリシーベルトでは、逆に免疫能力が1・5倍に上がったことを紹介し、150ミリシーベルト程度が最もがん転移を抑制する効果があったこと、低線量放射線が明らかに治療効果をあげることを指摘しました。さらに、現在いくつか研究されている事例として、アプスコパル効果(放射線を癌の原発病巣に照射すると、離れた転移巣にも効果がみられる)など、放射線治療と免疫療法を組み合わせて行うことで治療効果が上がることが証明されつつあること、また、新潟大学の安保徹名誉教授(故人)の指摘として、微量の放射線によって細胞内のミトコンドリアが活性化し免疫能が挙がることが報告されていることなどを説明しました。

 その上で、中村氏は慎重に、ホルミシス効果がどの程度の放射線量で起こるか、そしてその機序はまだ十分明らかになっていないこと、しかし、宇宙パイロットの記録、アメリカの屋内ラドンの効果、そしてイギリスの放射線作業者のデータなどから線量が推定され、今後、ホルミシスが癌治療、そして予防のためにますます活用されるだろうこと、そして自分自身も癌治療の現場で、胆管癌の患者が、ホルミシスマットによって治療効果があったことを紹介して講演を終えました。

放射線ホルミシスはミトコンドリアを活性化する 水上治先生
  
 続いて、健康増進クリニック院長の水上治氏が登壇。水上氏は、かつて自分が保守派知識人の雄、渡部昇一氏との交流があったことから話しをはじめ、その上で、自分のモットーは、「最良の意志医師はまた哲学者でもある」という、古代ローマの名医、ガレノスの言葉であるとまず語りました。

 その上で、現在のがん治療に触れ、早期発見、早期治療と言われてはいるが、実際には全く実現していない、癌治療のためには、本来、癌になりやすい体質そのもの、癌細胞が作られやすくなっている体質そのものを改善するしかないと述べました。そして、欧米ではすでにそのような試みが進んでおり、正直、日本の医学の現状は遅れていると批判しました。
 そして、癌については主流の学説は「癌遺伝子説」であり、遺伝子に変異が起きることによって癌が生じると考えられてきたが、現在、「ミトコンドリア説」が生じてきている、近い将来、この説が正しいことが証明されるだろうと述べました。

 水上氏は、癌とは代謝異常であり、遺伝子に変異が起きても必ずしも癌になるわけではない、一つの実験例として、癌細胞の細胞質を正常細胞に異色移植するとそこで癌が発生する、これは、癌細胞そのものの細胞質に何らかの異常が起きている証拠であり、この代謝異常とは、食生活、ストレス、生活環境などに大きく影響されるものであることを指摘しました。

 その上で、癌細胞の特徴として、嫌気性、つまり酸素を使わない代謝を行っており、それで仲間を増やしている。そして癌細胞のミトコンドリアは大変小さく、かつ破壊されており、この程度が高いほど悪性度が高い。道婚ミトコンドリアが破壊されれば癌細胞が増えていき、逆に言えば、癌治療とは、このミトコンドリアを活性化することだと水上氏は指摘しました。さらに、癌患者においては、癌細胞以外の正常細胞もその生命力が落ちており、その生命力をあげることも重要だと述べました。

 しかし、現実的に身と今度リサミトコンドリアを活性化しようとすれば、カロリー制限、ケトン体食、刺激的な運動、筋肉トレーニングなどが効果的だが、これらはいずれも現実的には持続が難しく、一般的ではない。ここで、ホルミシスが重要になってくると水上氏は述べました。

 そして、ホルミシスの原点は、16世紀のドイツの医師であり哲学者でもあるパラケルススで、彼は「すべてのものは毒性を持ち、その服用量が毒であるか否かを決める、どんな毒でもそれが少量ならば薬として作用する」と述べた、これこそがホルミシスの原理だと水上氏は指摘しました。

 そして、古代の小アジアの王、ミトラダテス6世の例をあげ、彼は父親が母によって食事に毒を盛られ殺されたことから、一時宮殿を逃れ、様々な毒物を入手、ごく少量を服用し続けて体に耐性をつけ、そして暗殺を防いで60年間王国を統治した、これがもとになって、ミトラダート法という、毒の服用をほんの少しずつ増やしていくことで免疫を得る治療法が生まれていると紹介し、これもホルミシスの理念の応用だと述べました。

 そして、まだまだ日本では誤解があるが、放射線ホルミシスは、民間療法ではなく、欧州で政治府公認で行われているれっきとした医療であり、ヨーロッパ医学の本流は実は薬草、温熱療法などの自然療法が本流で、化学療法はここ100年の歴史しかない、放射線ホルミシスはその意味でも医学の王道だと述べました。

 その上で、ホルミシスはミトコンドリアを活性化する、ミトホルミーシス効果があることが報告されており、それはミトコンドリアにおいて、少し酸化ストレスがある方が機能亢進をもたらすことであり、活性酸素が徐々に増えることによって、それに対し抗酸化力が身を護るために増加、それがミトコンドリアの活性化につながると説明しました。
 そして、欧州では様々なラドン療法が正式な病院でなされており、スイス、ドイツなど各国では、病気になれば健康保険の形でホルミシス療法を受けられる、そしてこのミトコンドリア活性化はほとんどの病気を改善する力を持ち、日本におけるさまざまなホルミシスルームの開発やマットなども、今後、重要な役割を果たすだろうと講演を結びました。

人は放射線なしには生きられない 健康と文明
北海道大停電にみる原発規制停止のリスク 高田純

続いて、日本ホルミシス協議会副理事長の高田純氏が登壇、高田氏はまず冒頭に、「薬」という言葉は、さかさまに読むと「リスク」となる、逆もまた真なりで、「リスク」は逆に読めば「薬」であって、世の中のものはすべてこのような二面性があり、それを正しく理解しなければならないと述べました。

そして、自分自身の体験として、昨年10月、右半月板を損傷し通院することになったが、手術後の関節のこわばりが、RHホルミシスクリームを塗ったところ日に日によくなっていった、これは家人も、坐骨神経痛に効果があり、ホルミシス効果を自分自身体験したと述べました。

その上で、高田氏は「人は放射線なしでは生きられない」という原則を説明、まず、この地球に降り注ぐエネルギーは太陽から来ている、太陽は巨大な核エネルギーである。そして人間界においては、レントゲン博士の発明以後、医学、医療の面で、放射線が積極使われるようになった。自然界において最も身近なのは太陽、人工では病院において、私たち人間は放射線を受けている。さらに、1918年のマックス・ブランクの量子論以後、宇宙は放射線で充満していることが明らかになり、空間にある放射線をどれだけ人体が受けたかを表すのが「線量」の概念であることを指摘しました。

そして、生命と放射線の関係について、3つの法則を高田氏は挙げました。

第一法則:生命は太陽の核エネルギーなくして存在しえない。

第二法則:低線量放射線は生命にいい影響を与える。植物の光合成や、体内ビタミンD合成にとって太陽光線は不可欠。

第三法則;核放射線医学の発展が人類の寿命を延ばす。

  南アフリカのケープタウンで行われた第14回国際放射線防護学会にて、自分が福島における線量について、チェルノブイリとは全く異なり、日本政府が科学的根拠なく発表したレベル7という断定は誤りで、福島はレベル6であることを報告し、出席した専門家たちが賛同したが、日本では報じられておらず、権威ある実証的な学会の結論が日本に伝わっていないことを指摘しました。
 
 第一法則について、太陽系においては未だに生物の存在は地球以外では発見されていない、その理由は、地球より内側の惑星では、水がすぐ沸騰してしまうような気温であり、外側では逆に、すぐ凍ってしまう。太陽のエネルギーが適度に届き、液体の水が存在しない所では、生命は生きていけないのだと述べました。

そして、今年9月に起きた北海道における震災について述べ、まさに、北海道全域が停電、まさに「エネルギー0」の状態になってしまった、これは泊原発を規制委員会が停めていたことが原因で、あの原発が動いていれば、数日に及ぶ停電状態が続くようなことはなかったはず。これこそが「リスク」と「薬」のバランスの問題で、地震にも耐えられる泊原発を停止し、このような震災の際に停電を引き起こした責任は大きいと批判しました。そして、これがまだ9月だったからよかったけれど、暖房が必要な冬であったら、自分の試算では、数十万単位の犠牲者が出てしまった可能性もあると述べました。

さらに高田氏は、実際に今回の停電で亡くなった人もいる。それは自宅で人工呼吸器を使っていた方で、そのような人は北海道で数百人いたはずだけれども、その人たちも停電で使用できなくなった。地震の負傷者よりも、この問い合わせの方が119番では多かったほどだと、高田氏は電力の停止が与える危険性を指摘しました。

そして、当時は病院に出勤しても、様々なトラブルが起き、食事すら出せないなど、病院も機能停止に陥っていた、電力面において正に北海道は北海の孤島だったと述べました。この意味からも、泊原発が停まっていることがどれだけリスクの高いことかがわかる、直ちに再稼働が必要であると政治的な決断を求めました。

オバマ前大統領が広島を訪問した際に、彼を迎えた90歳を超える被爆者の写真を示したうえで、この方は坪井さんという被爆者で、原爆を受けてケロイドが残っている。大変な苦労をしてこられた方だけれど、90歳を超えて、こうしてオバマ大統領を迎えることになった。被爆した人のすべてが短命で亡くなったわけではない、それは広島の被爆者たちの疫学的調査を読めばわかることで、むしろ低線量被曝の人にはがん発生率が低くなっているデータもあると指摘しました。

最後に、高田氏は自身が福島で行った放射線量調査、国会などで訴えてきた記録などを紹介し、ホルミシス治療のためのクリームが、疼痛や皮膚疾患、美容などにも効果があること、さらにこの分野でも研究がすすめられる必要性があることを述べて講演を終えました

個物の医学から場の医学へ 帯津 良一

最後に、帯津三敬病院名誉院長、帯津良一氏が登壇、まず自分は、外科医になってから当初二十年は、外科医として食道がんの手術などを中心に医療を行ってきたが、ある時から、ホリスティック医学という考え方に出会い、癌は、心や命の在り方に深くかかわっていることを考えるようになり、西洋医学だけでは解決できないことを悟るようになったと述べました。

このホリスティック医学とは、南アフリカ出身のJ.C.スマッツという思想家の「ホーリズム(holism)と進化」にある『全体というのは部分の総和以上のものである。それゆえに、全体が重要なのである』 という考えに始まるもので、基本的には、個物の医学から「場の医学」に向かう、そこで、ホルミシスも重要な役割を果たすだろうと述べました。

そして、この、全体を、小さな部分の総和ではなく全体としてとらえるという思想は、分子生物学の階層の論理(自然界は、場の階層からなり、上の階層は下の階層の持つ特性を越えた何ものかを持つ)とも、日本における白隠禅士の「人間は虚空から来て虚空に還る、壱岐ながらにして虚空と一体化する」という思想とも共通することがあると指摘、大きな思想的問題がこの医学には込められていると述べました。

さらに帯津氏は、ホリスティック医学においては、患者と医者は対等の関係であり、ある意味戦友の関係でもある、だから自分は、患者さんが亡くなる時は、必ずその最後の姿を看取るようにしているが、その時は皆すごく美しい顔になる、それがまさに、この世の務めを果たした顔に見えると述べました。

そして、医者の本文とは、患者の哀しみを敬う、病の中にある時も、人間の誇りを守ることにあると述べ、その思想が描かれた一冊として「思想としての医学概論」という著書を紹介しました。この考えは実は戦時中にも日本ではあり、当時は、この緊急事態の中、医者が直接役に立たない哲学論議をするとは何事かと批判されたけれど、その時からこのような発想が受け継がれていると帯津氏は指摘しました。

そして、医療と養生との結合がホリスティック医学の目標であり、これまでの「守りの養生」だったのが、これからは「生命場のエネルギーを高め、さらに言えば、死後の世界にも展望を持つ「攻めの養生」の発想が必要だと述べ、それは、哲学者ベルクソンの「生の躍動」という思想とも関連性があると指摘しました。

帯津氏は、ベルグソンの「創造的進化」という概念に注目し、ベルグソンはダーウィンの進化論の一面性を批判し、進化とは単なる自然淘汰ではなく、生命を生命たらしめる内的衝動力が重要なはずだと主張した、この考えは、医学にも当てはまると述べました。

それは、患者さんの免疫力を高めるのは、何よりも患者さんの心のときめき、内的な感動であり、死への不安をやわらげてこそ免疫力は高まる、これは映画「おくりびと」の原作となった青木新門氏の考えでもあるけれど、死に直面しておののいている人の心を和らげることができるのは、その人よりも死を近くに意識している人であり、だからこそ自分

は、毎日朝起きた時には「今日が自分の最期の日だ」という意識を持つようにしていると、医師としての姿勢を述べました。

その上で、ホリスティック医学とは、究極的には、生と死との統合を目指す、それは1、死後の世界との交流を図る 2、ラストシーン(死のイメージ)をイメージする 3、死を「手中に」収めるところを目指す、これもまた、白隠の「虚空からきて虚空に還る」という思想につながってゆく、。そのような新しい医学において、ホルミシス療法も大きな役割を果たすだろうと述べて講演を終わりました。

そしていくつかの質疑応答を経た後、日本ホルミシス健康効果研究会の濱須光由氏が閉会挨拶を行い、ホルミシスという考えに出会ってから約20年、様々な病気や高齢に苦しむ人たちが、このホルミシス効果で元気になり、しっかりした足取りで、そして血行の良い晴れ晴れとしたお顔立ちになっていくのをたくさん見てきた、現在、福島にいまだ放射能の偏見が残り、福島県民が肩身の狭い思いをしていることもつらく感じる、このホルミシスを人々に広めていくことで、多くの人たちに希望を与えたいと語りました。以上を持ちまして、一般社団法人 日本ホルミシス協議会 設立記念講演会は閉会いたしました。(終)